愛知県春日井市に入口がある「愛岐トンネル群」は、日本3大廃線トンネル群の一つで、片道1.7㎞の散策コースがあります。
日本3大廃線トンネル群とは
- 碓氷峠トンネル群
(群馬県安中市) - 北陸線トンネル群
(滋賀県長浜市・福井県敦賀市・南越前町) - 愛岐トンネル群
(愛知県春日井市)
の3つです。
「愛岐トンネル群」は、普段は立ち入り禁止区域となっていますが、年に2回、「春・秋の特別公開期間」が設けられており、1900年(明治33年)の開通当時のままの姿を見学することができるため、毎年多くの人が訪れる人気スポットとなっています。
- 愛岐トンネル群ってどんなところ?
- 車で行きたいけど、どこに止めればいいの?
- 行くときに気を付けることはあるの?
など、初めての方は疑問が多々出てくるかと思います。
この記事では、筆者が現地を訪れた際に利用した駐車場や交通手段、現地のトイレ事情や持ち物について、訪問当日の写真を交えながら紹介していきます。
これから初めて愛岐トンネル群を訪問予定の方の参考になれば幸いです。
記事内の画像は、2022年秋の特別公開散策時に撮影した画像となります。
愛岐トンネル群への行き方・駐車場
愛岐トンネル群には駐車場はありません。
また、最寄りにJR中央線 定光寺駅がありますが、そちらにも駐車場は一切ありません。
そのため、公共交通機関(JR中央線)を利用して行くことになります。
「定光寺駅」は「普通列車のみ停車」の駅です。
電車の本数が少ないので、前もって電車の時間を調べてからお出かけください。
- 2024年開催期間:
11/23(土) ~ 12/1(日) の9日間の予定 - 会場場所:JR中央線「定光寺駅」下車、上流へ徒歩300m
※普通電車のみ停車
※特別公開期間は臨時列車あり - 散策コース:国鉄中央線跡 片道1.7㎞
※往復約2時間(写真撮影・休憩時間含まず) - 開門:9時30分(雨天中止)
- 入場:14時まで(閉門:15時)
- 入場料:100円(訪問時)
- ペット入場不可
- お手洗い:入口手前を含めて4ヶ所
※簡易トイレ
※詳細は、公式サイトをご覧ください。
⇒愛岐トンネル群保存再生委員会
※土日は、待ちの列が定光寺駅にまで続いてしまうことがあるためか、我が家が行った年の土曜日は「9時開門」に変更となっていました。
▼愛岐トンネル群近くの定光寺駅▼
我が家は夫がドライブ好きなので、現地近くまで車で行き、愛岐トンネル群の最寄り駅である「定光寺駅」の一つ手前にある「高蔵寺駅」の駐車場に車を止めて、1駅分だけ乗って現地へ向かいました。
開催期間中の土曜日に行ったのですが、「9時」に現地到着予定で行動していると、すでに観光客で長蛇の列となっていますので、遅くても「朝8時半前」には定光寺駅に到着できるように段取りをして、お出かけください。
(土日は、それでも待ち時間はあると思います)
ちなみに我が家は土曜日に訪問しましたが、現地に「9時前」に着けば大丈夫と思い、「定光寺駅に8時40分頃到着した」のですが、すでに観光客が大勢並んでおり、すぐには入口まで辿り着くことができませんでした。
愛岐トンネル群へ行く際の服装・持ち物
我が家は11月下旬に愛岐トンネル群の散策に行きました。
雨天は中止となるので、晴天の日の服装と持ち物について、前もって知っておくと現地で困らない情報をお伝えします。
- 必ず必要:懐中電灯などの灯り
※トンネル内は本当に暗いです。(特に6号)
- 靴:歩きやすくて靴底が厚めの運動靴
※バラスト(砕石)の上を歩く場所もあるので、靴底が薄いと足が痛くなります。
※ヒールは傷だらけになります。
- 服装:重ね着で調整できる防寒着
※「風を通しにくいウインドブレーカーの秋冬版」+「ユニクロのウルトラライトダウン」など
※朝一番は寒く感じますが、歩いていると体温が上がってきて陽が当たる時間になると厚手のダウンコートは暑くなります。 - 飲物・お弁当:お茶など1本。
※マルシェにて販売されていますが、1.1㎞先ですし、お昼前からはかなり混雑します
※お弁当は昼前に売り切れていました。持参されている方も。
※朝一で到着した方は、行きにお弁当を購入し、帰りに河原(子供広場付近)で食べるとゆっくりできます。
秋の愛岐トンネル群を散策
ここからは、愛岐トンネル群散策当日の現地の様子を紹介します。
片道1.7㎞・往復3.4㎞あるので、普段歩いていない方は、景色や催し物などを楽しみながら、途中で休憩を取り入れつつゆっくり歩いてくださいね。
行きと帰りの一部に階段があるので、足腰が弱い方は足元に気を付けて散策してください。
JR定光寺駅~愛岐トンネル群入口
愛岐トンネル群の最寄り駅となっている「定光寺駅」に到着後、出口へ向かう通路をすすみ、切符は箱の中に入れます。
駅の階段を下りると、愛岐トンネル群への案内板があるので、指示通り右手へ。
愛岐トンネル群入口に向かって庄内川沿いを上流に歩いて行き、
まだ9時前だからそれほど人はいないだろうと思っていたら、ずら~り長い列が!
皆さん結構早くいらっしゃるのですね(^^;
考えが甘かったです(笑)
入口が全く見えません……。
せっかく来たのでこのまま並び、しばらくするとようやく「入口」が見えてきました。
上の看板には
開場時間は9:00
と記載がありますが、土日で人が多かったため、30分早く開場予定となったようです。
(待ちの列が定光寺駅まで続き始めていたようで、係の方が開場時間を早めてくださったようでした)
通常の開場時間は9:30
と案内されています。
入場料100円を箱の中に入れ
入口へと進みます。
入口手前には、愛岐トンネル群と書かれたプレートが赤レンガに貼られており、明治時代の勝川駅プラットホームで使われていた赤レンガを移設したそうです。
赤レンガの先には、結構急な階段が現れますが、その階段を上ると最初の3号トンネルに到着します。
3号トンネルへ
1900年に開通した3号トンネルが目の前に現れました。
120年以上前に作られたレンガ作りのトンネルを見ることができ、改めて「歴史は繋がっているんだなぁ」となんだか妙に感動!
すでに人がいっぱいで、皆さん思い思いに写真撮影をしたり、綺麗な紅葉を楽しんでいました。
3号トンネル入り口には、SL実物大の大幕が垂れ下がっており、
3号トンネル入り口には、「登録有形文化財」のプレートや3号トンネルについての説明があります。
電車のホームでよく見かける「駅名標」があり、トンネル発掘に携わった方々のアイデアでしょうか、駅名の下に「メッセージ」も表記されています。
1.7㎞、頑張って歩いてきます(笑)
3号トンネルは「76m」なので、ある程度トンネル内に光が入ってきますが、やはり足元は暗いです。
防災用のミニライトなどを忘れずに!
(スマホのライトを使用される方は、充電状態に注意)
後ほど紹介しますが、この先、さらに暗いトンネルがあり、特に6号はライト無しでは足元が見えません。
トンネル内部に、ジオラマが展示されていました。
左は、岐阜県中津川市で、紅葉や川の色が綺麗な場所として有名な付知峡から浦までを結ぶ付知峡ブルーラインのジオラマ。
右は愛岐トンネル群にてコンサートを開かれるコトリネという音楽デュオ思い出の地であるアイルランドの情景のジオラマだそうです。
3号トンネル出口の左手に、「リユース柵」が見えてきました。
リユース柵
3号トンネル出口左手にあるリユース柵は、古レールを再利用した落石防止柵。
柵にはレール製造業者の刻印が残されており、実際に見ることができます。
▼アメリカ カーネギー社 1919年の刻印
▼ドイツ クルップ社 1903年の刻印
▼日本 八幡製鉄所 1911年の刻印
廃線の落とし物
廃線の整備中に発見した部品や工具などが展示されていました。
結構な量の落とし物です(笑)
次は竹林へ。
竹林と東屋
廃線唯一の竹林が見えてきました。
竹林の途中には天然木の手作りおもちゃが置いてあったり、ベンチもあるので、少しお疲れの方は休憩もできますよ。
ただし、お手洗いはマルシェ広場近くまで歩くことになります。
途中に「竹林駅」の駅名標があり、次の駅までの距離や途中で帰宅したくなった場合の出口案内も。
東屋が見えてきました。
我が家は立ち寄りませんでしたが、東屋では有料で呈茶サービスがあるそうです。
また、東屋と反対の川のそばには子供広場があり、歩くばかりで飽きてきたお子さんを遊ばせることもできます。
東屋を後にし、小さな橋を渡ると
地元の方でしょうか、オカリナ演奏会が開かれていました。
とても綺麗な音色で、訪れた方もしばらく足を止めて聞き入っていました。
この先に、次の4号トンネルが見えてきます。
4号トンネルへ
赤く色づいたモミジを鑑賞しながら歩いて行くと、4号トンネルが見えてきました。
4号トンネルの入り口にはモミジの木が(゜゜)
廃線跡らしいですね(笑)
入り口近くには4号トンネルの説明看板。
いよいよ中に入っていきます。
中に入って振り向いた時、紅葉がとても綺麗だったので、記念撮影!
同じアングルで撮影している方が多かったです。
4号トンネルをすすんでいると、
途中で、SLの通過音と汽笛を聞くことができるので、実際にSLに乗ってトンネルを通っている気分を味わうことができます。
▼音が出ている付近にあった綺麗なデザインの灯り?それともスピーカー?
出口横に汽笛案内の看板を見つけました。入り口にもあったのかしら?気が付かなかった(^^;
4号トンネルは、出口中央にもモミジの木が育っていました。
大もみじ広場
4号トンネルを抜けると、出口右手に愛岐トンネルのシンボルとなっている愛知県下最大級の「大モミジ」があるのですが、我が家が行った時には既に葉が落ちてしまい、枝のみとなっていました(^^;
う~ん、残念!
ここにも「大モミジ前駅」の駅名標がありました。
次は水車前駅です。
水車・ゴリラ岩・マルシェへ
しばらく歩くと、橋の左手に水車が見えてきました。
なんと、木組みで手作りの水車だそうです。
地元の方の「愛岐トンネル群への愛」を感じずにはいられませんね(*^^*)
「水車前駅」に到着です。
駅名標にも水車の「手作り」アピールが(笑)
水車の先へと歩いて行くと、「ゴリラ岩」と呼ばれている大きな岩が見えてきます。
説明書きには、
東山動物園の噂のイケメン シャバーニ君の横顔に見えませんか?
と書かれています。
東山動物園は、「コアラ」が来たり、最近では「大トカゲ」がやって来たことで、全国でも有名な動物園となっています。
私も行ったことがありますが、確かにシャバーニ君に似てるかも(笑)
近くには、山の神「トンガリ岩」があり、体力に余力のある方は階段を上って、見に行かれていましたが、結構な登りなので、我が家はお弁当を購入しようと「マルシェ広場」の方へ。
紅葉を見ながら、しばらく歩くと「信号機の台座跡」があり、
この先に「マルシェ広場」があります。
マルシェ広場では、色々と美味しそうなものが販売されていましたが、我が家はお弁当が売り切れる前にと、先に購入。
ここで休憩をすると、これからまだ次々と入場者が増えてくるはずなので、休憩は帰りにすることに。
マルシェ広場に「暗渠」と呼ばれる煉瓦製の水路の看板を見つけました。
マルシェ広場からは中の煉瓦は見えませんが、川沿いの「玉野古道」を歩いて行くと、入口があるので、100年前の煉瓦の紅の輝きを間近に見ることができます。
(当日、帰りに玉野古道を歩かず、見学し忘れました…。残念!)
続いて5号トンネルへと向かいます。
5号トンネルからレンガ広場へ
5号トンネルは、約99mと、少し距離が長くなります。
上の看板内に「玉野川」と書かれていますが、「庄内川」のことだそうです。
昔は地域によって名前が異なっていたようで、今はグーグルマップを見ても「庄内川」と表記されています。
いよいよ5号トンネル内へ入ります。
比較的真っ直ぐなトンネルなので、出口からの光も入ってきて歩きやすいです。
5号トンネルを出ると、目の前にレンガ広場があります。
ようやく「レンガ広場前駅」に到着。
トンネル出口右手には全国初の「SL・C57の動く動輪」が展示されています。
レンガ広場にはステージもあり、コンサートが開かれています。
自然の中で聞く音楽も気持ちが癒されて良いですね♪
しばらく音楽に耳を傾けた後、愛岐トンネル群最後となる6号トンネルへ。
6号トンネル手前の「レンガ広場」から「モミジ山」へと続く「玉野古道」があります。
こちらは「健脚者向け」との案内があるため、足腰に自信のない方はモミジ山へは行かずに、そのまま6号トンネルへお進みください。
※尚、5号トンネル入口辺りから定光寺駅方面へ向かう「玉野古道」に進むと、「暗渠」の煉瓦を見学できます。
(6号トンネルを見た帰りに立ち寄るとちょうど帰り道となって良いかと)
6号トンネルへ
6号トンネル入り口付近では、トンネルの底部に逆アーチ形状で仕上げられた「インバート」と呼ばれている補強工事部分が一般公開されています。
説明のみ撮影して、入口底部の実物を取り忘れました(^^;
6号トンネルは333mと長く、「くの字」に曲がっているため、中は本当に真っ暗です。
左右にライトが付けてあるものの、足元は全く見えない状態となるので、ライトで照らしながら進んでくださいね。
実はトンネル内部にもインバート設置の境界部分を見ることができる場所があります。
トンネル入り口から68mほど進んだところに灯りがあるのでわかると思います。
先人達の知恵と工夫で、トンネルが安全なものになるよう様々な工夫が施されているのですね。
暗闇の中をしばらく歩き続け、ようやく6号トンネル出口へ。
ここにもトンネル前ですくすくと木が成長しています(*^^*)
最終の「県境駅」に到着!
岐阜県への熱いメッセージが面白い(笑)
いずれは、岐阜県の「古虎渓駅」まで歩いて散策できるようにしたいという案があると、公式サイトに載っていました。
6号トンネルを出て振り向くと、全国でも珍しいといわれている「シンメトリートンネル」の姿を見ることができます。
6号トンネルから出てくると、皆さん珍しいトンネルとご存じの方が多いのか、振り向いて写真撮影される方が多かったです。
出店が少しありましたが、我が家は立ち寄らずにしばらく景色を見ながら休憩。
ベンチがあったのですが、すでにいっぱいで、皆さんお疲れでお弁当を食べたりと休憩中。
奥の方へ行くと、岐阜県との県境となっている赤い橋が見えました。
我が家はマルシェ広場でお弁当を買ってきたものの、座れなかったのでそのまま来た道を戻ることにしました。
6号トンネルから出口へ
6号トンネルを後にし、レンガ広場、5号トンネルへと戻り「マルシェ広場」に到着。
ベンチに座ろうかとも思いましたが、まだ11時前だったにもかかわらず、既に満席状態!
そろそろ歩き疲れてきて、ゆっくり落ち着ける場所でお弁当を食べたいと思ったため、竹林のあった辺りから「出口」の案内に沿って左の階段へ。
階段を下りると直進が「定光寺駅」へ、
左手の階段を下りていくと河原に行くことができるので、我が家は河原でお昼休憩をするために、さらに階段を下り、
階段を下りて右手の出口方面とは反対の左手に進み、河原へ向かいました。
人も少なく、景色を眺めながらのんびり昼食タイム。
沢山歩いたので、シンプルなお弁当でしたが美味しかった~(*^^*)
ちなみに我が家が購入したおにぎり弁当はこちらです。
しばらくのんびり過ごし、お腹が落ち着いたころに来た道を戻り、無事定光寺駅に辿り着くことができました。
愛岐トンネル群の散策は朝一で出かけよう!
今回、愛岐トンネル群「秋の特別公開」の散策に行ってきましたが、土曜日だったこともあり、本当に多くの人が訪れていました。
「大モミジ」の葉が既に落ちていたのは残念でしたが、1900年(明治33年)開通当時のままのトンネル群の中を実際に歩いたり、紅葉を見ながら景色も堪能できる散策は、運動不足解消にも役立ち、とても楽しかったです。
我が家は土曜日の9時前に現地に着きましたが、既に開場待ちの長い列ができていたので、土日に行かれる方は、朝8時半前には到着された方が、会場内での大混雑を回避できるかもしれません。
(11時前にはマルシェ広場は人だかりができていました)
改めて注意点等をお伝えすると
- 駐車場はありません
- 雨天中止
- JR中央線「定光寺駅」下車、上流へ300m
- 時間は9:30~15:00(入場14時まで)
- 入場料100円(訪問時)
- ペット入場不可
- 靴底の厚い歩きやすい靴で
- 懐中電灯などの灯りが必要
などとなります。
※最新情報は、公式サイトをご覧ください。
⇒愛岐トンネル群保存再生委員会
土日など、あまりに人が多い時は開場時間が9時からに変更となる場合もあります。
(定光寺駅まで観光客の列が続いてしまうことがあるため)
これから初めて愛岐トンネル群の散策に行かれる方にとって、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。